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2009年05月17日

チュンポンの泥棒

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猛ダッシュで走ってくる長髪の男。朝のジョギングに行こうと家の前に出た私にぶつかりそうな勢いで向かってきたと思ったら、ちょっと手前で左に曲がって隣の家の垣根を越えて裏の森に消えていきました。

それは、タイ正月のソンクランに夫の実家であるタイ南部のチュンポンに滞在していたときのこと。実家はタイでタウンハウス(ムーバーン)といわれる集合住宅で、警備員が管理する敷地の中に50件ほどの同様のスタイルの一軒家が並んでいます。

タイでは日中は日差しが強くて屋外で運動でも使用ものなら即熱中症。ここの人々は早朝か夕暮れにジョギングやセパタクローを楽しみます。私も朝早く目が覚めて気が向くとジョギングをするのがお気に入り。その日もストレッチを終えて家の門を出たところでした。

朝ジョギングをしている人に出会うことはありますが、その男は腕をブンブン振ってなりふり構わぬ走りぶり。逃げ出した犬か鳥でも追いかけているのか、とも思いました。なにかトラブルのにおいもしましたが、周囲の家も男が走ってきたほうも極めて静かで通常の7時前の風景。夫もまだ寝ていたのでなにかもやもやしながら集合住宅を5分ほどかけて一周。その男は長髪で、ユニフォーム風のTシャツを着て2桁の番号がはいっていたのですが、走り終わるとその番号も忘れてしまいました。

戻ってくると、もうすぐ2歳になる娘が起きて、夫とともに家の前で遊んでいました。早速夫に報告するも周囲も騒がしくないのでまずは様子を見ることに。男が走り抜けていった隣家はチュンポンから3時間ほどのタオ島でビジネスを持っているため留守がち。引っ越してきたばかりのお宅のため電話番号もわかりません。

しばらくして朝ごはんのお粥やカノムクロックなどお菓子の屋台に車で出発。また数分ほどして帰ってくると男が走ってきたほうの家から家の主人と思しき男性が大きな銃を抱えて出てきています。取り巻く人々もおり、何かが起こったことは間違いない雰囲気です。

こうなってくるとあの時ユニホームの番号をなぜ覚えておかなかったのかが悔やまれるところ。とそのとき向こうから男性3人組が。「あっ、あの男だ!」車の中で夫に報告。ひとまず家に帰って夫はその男がある家に入ったのを確認してきました。

もし日本ならすぐさま警察に、というところですが、タイでは警察イコール正義で頼れる存在ではありません。むしろ汚職の宝庫、賄賂をもらえなそうな窃盗事件など捜査もおざなりということもしばしば。警察よりもマフィアのほうが強いこの国では自分や家族だけが味方。自分で武装して身を守らなければいけません。夫や家族も少し様子を見るように、誰かに目撃したことを話さないようにと忠告されました。

その晩ご近所さんから夫の家族が仕入れた情報によると、銃を持って外に出てきた家に泥棒が入って現金が盗まれた。そして犯人は私が目撃した長髪の男。目撃者が私のほかにもいたようです。この集合住宅に数ヶ月前賃貸で入居してきた。家には男性何人かで住んでいた、とのこと。そして家の主人は警察でなく地元の有力者を通じて、二度と自分の前に姿を現さずここチュンポンから出て行くように男たちに忠告し、警察に逮捕させなかったそうです。男たちは罪を認めてすぐさま家を引き払いました。

なぜ犯人がわかったのに逮捕して刑務所にいれようとしないの?と夫に聞くと、タイでは刑務所に入れるのはかわいそうだから、警察や公権力を利用しない方法で解決することがある。男の世界の義理人情のようなものだと説明されました。

なんだかもどかしいものが腹の中に残る結末ですが、タイ人には納得できる展開のよう。タイでの暮らしが長くなり、すっかりなじんできたと思っていた私に「まだまだ甘い!君は外国人だ」とパンチを食らわされたようでした。

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投稿者 aya : 2009年05月17日 13:42

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